総選挙へ向けて〜大使館からの注意喚起

1.3月4日に予定されている総選挙を前に、各地で政党集会が頻繁に開催されるようになってきました。1月17日(木)には、総選挙で選ばれる上院議員、国民議会議員、群知事、群議会議員等のポストに対する各党候補者を選ぶ指名投票(予備選挙)が全国各地で実施される予定です。
 
2.新聞報道などによると、同指名投票において指名されることは、3月の総選挙に出馬するために不可欠であるばかりでなく、場合によっては、総選挙での当選を確実なものにするものとなるため、各候補者の支持者の応援が激化し、緊張が高まる可能性が指摘されています。
 
3.こうした中、ケニア政府は、3月の総選挙と同規模での警察官を全国に配置し、警戒に当たるとのことです。
 
4.ついては、17日の指名投票日においては、同投票実施が予定される公共施設・公立学校にはできるだけ近づかない、集会はもとより人だかりがある場所を避けるように行動し、安全確保に努めてください。
 
5.また、翌18日は、各政党の指名候補者届出日となっており、指名投票結果を不服とする支援者らによる抗議・デモ・衝突が発生する可能性がありますので、同様に警戒をお願いいたします。
 
平成25年1月14日
日本大使館
領事警備班


ケニアの教科書にみつけるリサイクル・アイテム!?

ケニアの初等教育で使われる美術・音楽用の教科書を見て驚いたことがあります。日本では小学校でも中学校でも画材道具を一式購入してから描くことが当たり前だったので考えたこともありませんでしたが、ここケニアでは、その絵を描くための筆の作り方から掲載されているのです。もちろんこれはケニアの貧しさの問題と関係していますが、それを哀れむという反応ではなくて、なんてクリエイティブなんだろうと、驚いたわけです。



教科書に記された手順は下記の通り。
a) 細い枝木を準備しましょう
b) ナイフで枝木の形を整えましょう
c) 枝木の端の方に溝を作りましょう
d) サイザル(植物)の繊維を準備しましょう
e) 溝のまわりに繊維をしっかりと結びつけましょう
f) 図のように繊維を折り曲げて結び、毛先を整えましょう
注意:枯れ木は使わないこと。中には有毒な木もあります。

しかも、紹介されている作り方は一種類だけではありません。
上記のサイザルを使った筆の他には、例えば、「枝の先がやわらかくなるまで噛みましょう」なんていうのもあります。



ケニアのリサイクル・アイテムをリサーチするようになって改めて教科書をみなおすと、他にも発見がありました。楽器のページです。瓶の蓋と枝で構成された楽器のイラスト。見ただけで振りたくなります。瓶の蓋どうしがぶつかってカシャカシャいう音がなるのが実際に聞こえるようにクリアにイメージできます。

教科書には「先生が作り方を教えてくれるでしょう」とあります。
こんなふうにケニアでは、道具や楽器は自分で作るもの、ということが自然と教えられているようです。

※西尾工作所ナイロビ支部が企画協力する「ケニアのリサイクル・アート展」は、埼玉県北本市のナヤノギャラリーで、2月23日(土)・24日(日)開催です。

2013年1月11日 西尾美也

書籍紹介:『Trading Places』と『Wall Art In Kenya』

写真集を二冊紹介する。いずれもケニアの印象的な光景を特集していて面白く、資料的価値がある。


Steve Bloom『Trading Places: The Merchants of Nairobi』(Thames & Hudson、2009)

食堂や理髪店、仕立て屋など、ナイロビで働く商人を取材した写真集。もともとアフリカの村で撮影の仕事をしていた著者は、飛行機でロンドンに発つまでの空いた時間を使ってナイロビの生活圏をはじめて散策した。村とは対照的な都会の喧噪と人々のエネルギー、そしてそれらを体現している店の佇まいに圧倒されたのが、ナイロビの商人を取材する動機となっている。
場所はKiberaやMajengo、Langata Kitengela Roadなどのディープなナイロビが選ばれている。職業も年齢も多種多様な店主を取材しており、各自ポートレートとインタビュー、店の外観や室内の様子といった構成で、全14組が登場する。同じ型にはまっていない撮影の方法やレイアウトと、インターバルにイレギュラーな写真が挟み込まれていて、見るものを飽きさせない。
同じ立ち位置から少しずつアングルを変えて撮影した複数枚の写真を合成したり、ストリートに沿って少しずつ移動しながら撮影した複数枚の写真を合成するなどのデジタル技術を用いて、高解像度で肉眼に近く、その場を追体験できるような写真も面白い。各商店の写真は、意図的にか曇った雨期に撮影しているものが多く、ドラマチックかつ細部までクリアに映し出している。
ロンドンの出版会社のためクオリティも高く、高価だがナイロビにも流通していることは意義があると思う。クリエイティブでエネルギッシュなナイロビの日常に触れることができる良書。


Arvind Vohora『Wall Art In Kenya』(Arvind Vohora、2011)

独立後にケニアの各所で見られるようになったというユニークな壁画を記録した写真集。商店に着目している点は先に紹介した写真集と共通するが、こちらはあくまでも壁に描かれた手書きの看板やメッセージ(コマーシャル・アートと呼ばれる)にフォーカスを当てており、人物や町の景観はほとんど登場しない。肉をさばく男の姿や酒を飲み交わす人々、いろいろな髪型など店の種類を表現する絵もあれば、バーの店内でよくみられるという、美しい女性に騙されないようにと警告する人魚のモチーフなど、メッセージ性の強い絵もある。
アートの教育もプラットフォームもパトロンもなかったケニアでは、“アーティストのような人たち”ができたことは、このように壁をキャンバスにして絵を描くことだった。実際、現在ケニアで活躍する美術家の中には、かつてコマーシャル・アートの描き手だった人も少なくない。
タンザニアで生まれたArvind Vohoraは、ロンドンで写真を学んだ後、1979年にナイロビに移り住んで写真家として活躍。1980年代に半年間かけてケニアのあらゆる場所を旅して壁画を取材している。台頭するブランドの看板や広告によって姿を消しつつあるこうしたコマーシャル・アートという一つのアートの現象を記録するのが本書の目的で、ケニアの大手通信会社サファリコムのバックアップで出版されている。壁画は確かに面白いのだが、メイド・イン・ケニアの本で単調なレイアウトと味気ないブックデザインが残念というほかない。
Arvind Vohoraは、ケニア国内のビジュアルアートを発展させることを目的に1995年にナイロビに設立されたKuona Trust/ Centre for Visual Arts in Kenyaの共同設立者の一人でもある。

2013年1月10日 西尾美也

ケニアの2012年ニュース総まとめ

ケニアでは2012年にさまざまな出来事がありました。主要新聞社「Nation」によるニュース総まとめ記事「Farewell 2012」を引用しながら2012年を駆け足で振り返り、今年に臨みましょう。

1. ストライキだらけ:公立の小中学校教師や大学の講師、医者、看護士、公共交通機関などが各地でストライキを行ない、庶民の日常生活に欠かせないさまざまなサービスが麻痺しました。

2. アルシャバブ闘争:ケニア軍がソマリアのテロ組織アルシャバブの拠点キスマユを9月28日に攻略しました。2011年の10月から駐留していた兵士たちが凱旋しました。このテロ組織との戦いにより、ケニア兵士35名が死亡、さらにナイロビやモンバサ、ガリッサなどの主要都市でテロ攻撃が頻発するようになりました。

3. バラゴイ虐殺:11月10日、リフトバレー州サンブル市のバラゴイ地区で牛略奪集団によってケニア警察40名超が襲撃され殺害されました。

4. サイトティ墜落死:6月11日、国内防衛大臣のジョージ・サイトティと補佐官ジョシュア・オジョデの乗ったヘリコプターがナイロビ市内で墜落。全乗員6名が死亡しました。詳細は調査中ですが、麻薬組織がらみの謀略ともいわれています。

5. タナ虐殺:ケニアにとって2012年8月は最悪の月だといわれました。さまざまな悪いニュースが立て続けに起こったこの月末、タナ地区で2つのコミュニティの対立が激化。村々の襲撃が繰り返され、その累計死者数は139名超にのぼっています。12月21日には再び39名が殺される襲撃が起きています。

6. デイビッド・ルディシャの金メダル:8月2日、オリンピック800メートル競技でデイビッド・ルディシャが金メダルを獲得。1分40秒91の世界記録をたたき出しました。同レースでティモシー・キツムも3位に入りました。

7. オバマ大統領再選:ケニア西部出身の父をもつオバマ大統領が11月6日に再選し、ケニアも喜びで包まれました。

8. 各政党が同盟を結ぶ:今年3月4日の大統領選にむけて、各政党が12月に同盟を結びました。大統領最有力候補のライラとウフルが、それぞれカロンゾとルートという強力政治家と手を結び、国内は政治的緊張が高まり始めています。5年前のような部族対立による殺戮という悲劇を繰り返さないために、さまざまな取り組みも見られます。

どうかケニアにとっても2013年が平穏で実り多い1年になりますように!

2013年1月1日 西尾咲子

展覧会「Matatu Project in Movement」がオープン

この数ヶ月間ほど、西尾工作所ナイロビ支部は「Bebabebag」というプロジェクトタイトルのもとでナイロビ市内の公共交通機関と人力運搬について、アートとファッションの視点からリサーチと作品制作、パフォーマンスを行なってきました。同じ期間に、ケニア出身アーティストであるデニス・ムラグリも公共交通機関のマタツを題材に版画と絵画作品を制作してきました。この2組による展覧会「Matatu Project in Movement」が、2012年12月7日(金)から2013年1月15日(火)まで、ナイロビのウェストランド地区にあるLe Rustiqueで開催されています。



オープニング当日は、私たちの友人やコラボレーター、デニスの所属するKuona Trustのアーティスト仲間などが足を運んでくれました。欧風カフェギャラリーの壁には、マタツのイメージを更新するようなデニスの迫力ある版画作品がたくさん掛けられ、その間を縫うように「Bebabebag」の鞄型オブジェが吊り下げられています。



このカフェギャラリーにくるような外国人や高所得者層は、普段、公共交通機関や人力運搬などに「自分たちは使用するべきではない乗り物」としてレッテルを貼ったり、見下したりして絶対に乗りません。しかし、「公共交通機関こそが都市の生命線であり、都市景観の要である」という信念に近い切望をもって、この2組のアーティスト集団は作品制作を手がけています。これらのイメージを張り付けまくることでこの空間をハイジャックできたような、現実においてもナイロビの公共交通機関の更新が既存の社会政治的隔離を撹乱していくような、そのような気迫がポップでユニークな作品の裏側からにじみ出ていればと思います。



入り口の棚に置かれたマタツ18分の1サイズの鞄「Bebabebag Mini」は、スタッフやお客さんに好評です。サイドに貼られた標語ステッカーが1点1点違って面白く、それを楽しげに読んでる姿が見られます。たとえば、私の好きな標語はこれ、「I WILL USE THE STONES THAT MY ENEMIES THROW AT ME TO BUILD MY OWN FOUNDATION(私の敵が投げてきた石で、私の基礎を築いてやるわ)」。「なにくそ」というスピリットや「じーん」とくる感動、「フフフ」と笑うような皮肉などが英語やスワヒリ語で書かれていて、言葉遊びが好きなケニア人らしさを感じます。私たちの小さな息子も大のお気に入り。「ベバベバ!(運べ運べ!)」と嬉しそうに叫びながら肩からかけるので、彼のファーストバッグになりました。

2012年12月21日 西尾咲子

毎日の食品:果物

 


ナイロビのスーパーマーケットや市場、道ばたのキオスク、行商販売などでは、さまざまな果物が安く手に入ります。我が家の食卓によく登場する、安くて美味しい果物を並べてみました。パイナップルから時計回りに、みかん、パパイヤ、マンゴー、ベビーバナナ、ライム、プラム、すいか、バナナ。あらら、小振りの可愛いリンゴを買い忘れてしまいましたが。どれも果汁と甘みがたっぷりで、暑い太陽で疲れた体と気持ちを和らげてくれます。カラフルなので目を楽しませてくれて、お部屋の装飾にもなります。


これだけ盛り合わせて500円もしません。スーパーマーケットは高めで、市場や行商販売がお得です。例えば、スーパーではマンゴー2個で100円近くしますが、行商人なら5個で100円ほどで売ってくれます。ついつい買いすぎてしまって、大人2人と幼児1人でも1週間でこの倍ほど食べてしまいます。ケニアに暮らして、スナック菓子やケーキ、クッキーの消費が激減しました。この他にも、ブドウやキウイ、オレンジ、チェリーなど外国産フルーツも買えますが、日本と比べて同じかそれ以上の値段なので、まったく手が伸びません。


最近、ナイロビのあちこちの街角で、お皿いっぱいのフルーツ盛り合わせを売る屋台が流行しています。テレビ番組や新聞、雑誌などで、フルーツの効能が喧伝されているからでしょうか。オシャレで元気いっぱいの女性に、「あなたの美容と健康の秘訣を教えてください」と尋ねたら、「フルーツをいっぱい食べて、水をたくさん飲んで、ストレスを貯めないこと」という答えが返ってきました。果物は、ケニアの人たちの美しくて明るい笑顔を支えるビタミン剤ですね。


20121212日 西尾咲子


ナイロビ市内イスリー地区における爆弾事件の発生に伴う注意喚起〜大使館からの治安情報

以下のとおり、スポット情報を発出しますので、添付資料をご確認ください。

平成24年(2012年)12月10日
ナイロビ市内イスリー地区における爆弾事件の発生に伴う注意喚起

【概要】
12月7日夜間、ナイロビ市内イスリー地区において爆弾テロ事件が発生しました。同地区では、テロ事件が多発し、前回の爆弾テロ事件後は、暴動も発生しております。
同地区を避けるようよろしくお願いいたします。
 
以下安全に関するページもご確認ください。

【ケニア大使館ホームページ】
・在ケニア日本国大使館ホームページ
http://www.ke.emb-japan.go.jp/j-index.html
・在ケニア日本国大使館ホームページ → 領事安全情報
http://www.ke.emb-japan.go.jp/anzennew.html
・在ケニア日本国大使館ホームページ → 領事安全情報 → 安全情報
http://www.ke.emb-japan.go.jp/anzennew.html

【外務省海外安全ホームページ】
・外務省ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/
・外務省ホームページ→渡航関連情報(メニューバー)→海外安全対策「海外安全ホームページ」
http://www.anzen.mofa.go.jp/
・海外安全ホームページ→アフリカ(南側)(地図)→ケニア→感染・スポット・危険情報
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo.asp?id=100#header

平成24年12月11日
在ケニア日本国大使館
領事・警備班


毎日の食品:穀類



ナイロビのスーパーマーケットや市場では、さまざまな食品が手に入ります。とくに最近は、ケニアでも高カロリー・高脂質による糖尿病や肥満症、高血圧が増えているため、美味しいばかりでなく健康に良いことをうたっている食品も目立ってきています。ナイロビにいても、いや、ナイロビにいるからこそ、なかなか日本では手に入りにくかったり、あえて買う気にはならない、さまざまな食品を美味しく健康に味える機会があります。


今回は、私たちが毎日食べている穀類について、振り返ってみたいと思います。日本にいたら深く考えずに白米ばかり食べていたのが、ここでは日本米を買うのが割高なので、別の穀類に手を伸ばすことになります。我が家では、下記に挙げる穀類と日本米との比率は10対1くらい。日本米が恋しくなるどころか、ケニアの太陽をたくさん浴びた栄養いっぱいの雑穀や未精製の食品は、なかなか味わい深くて癖になりつつあります。いつも棚に常備している穀類をまとめてみました(左下の玄米から、反時計回りの順番で説明しています。)


仝縞董日本と同じように、お米も白米と玄米がありますが、我が家では玄米を選ぶようにしています。ピショリやバスマティなどの長粒米が主です。米や小麦粉などの白い精製した食品のパッケージには何も書かれていませんが、茶色の未精製のものにはさまざまな栄養的効能が書かれており、健康になれることがアピールされています。このブラウン・ライスの袋にも「カルシウム、鉄、マグネシウム、リン、カリウム、亜鉛、マンガンなどのミネラル類が豊富。ビタミンB3もたっぷり」と書かれています。


▲譽鵐再ζり玄米:この無精米にはレンズ豆も入っています。タンパク質も一緒に摂れることや、カルシウムやマンガン、カリウムなどのミネラル、ビタミンA、B、C、Eなどを補給できることがうたわれています。ピラウなどの炊き込みご飯に最適なお米です。


ウジ:キビや粟、モロコシ、メイズなどの雑穀がミックスされた粉です。これをお湯と練り混ぜてドロドロのお粥にして食べます。タンパク質やデンプン、さまざまな栄養素が豊富なので、ケニアの代表的な幼児食と朝食になっています。毎日食べると飽きますが、ときどき食べたくなる懐かしい素朴な味がします。


ぅ瓮ぅ此Д吋縫△亮膺であるウガリの原料です。メイズの粉をお湯と練りあげて、お団子のようにして食べます。ビタミンやミネラルが豊富で、腹もちがバツグンです。日本でいうお米のような存在で、シチューや豆、野菜など、どんなケニア料理とも合います。。


ゥ船礇僖謄(ブラウン):チャパティはインド起源の無発酵の薄いパン。食堂やレストランでは「ホワイトかブラウンか」とよく尋ねられますが、原料に精製した白い小麦粉を使うか、未精製の茶色い全粒粉を使うかの違いです。我が家では「ブラウン」を使用。茶色い小麦粉だけでなく、ライムギとアマランサス(テレレ)、キビなどの雑穀も一緒に入っているものを選んでいます。お米といっしょで、「ホワイト」は癖がなくモッチリとした甘味になりますが、「ブラウン」は含水量が少なめで酸味やコクのような味わいと香ばしさが楽しめます


食パン(全麦パン):精製された白くて甘いパンもありますが、我が家では全粒粉から作られたパンやライムギパン、オートムギパン、いろいろな雑穀が入ったパンを選んでいます。日本では「もっちり・ふんわり」をうたった大手メーカーの食パンの原料には、決して健康的でない添加物やカタカナとアルファベットの化学用語がたくさん記載されていることがありますが、ケニアで作られたパンの原料欄はシンプル。このパンなら「全麦粉、小麦粉、オートムギ、小麦のカケラ、イースト、砂糖、塩、植物油」です。もちろんパサツいていますが。


この他にも、欧米風のオートミールやパスタ、ラーメンなどもさまざまな種類が輸入されています。外国人がいっぱい住んでいる地区にあるスーパーでは、うどんやソバまで輸入して売られています。ナイロビの食卓にならぶ主食は、とてもバラエティが豊かだと言えそうです。


20121210日 西尾咲子


6mのパイプを運ぶ



僕のアパートでは共同受信のテレビアンテナがなくて、テレビを見たい家庭は個別にアンテナを立ててケーブルを引く必要がある。だから、アパートの屋根には、いくつもアンテナが立っている。住宅が密集したスラムになるとこの光景は圧巻で、掘建て小屋から空に向かって伸びるいくつものアンテナ群は、インスタレーション・アートさながらである。

取り付けの作業は大工と管理人がやってくれるのだけど、アンテナとケーブルとポールは自分で買ってきてとのこと。幸い、歩いて15分ほどのところに金物類を扱うショップが集合するエリアがあったから、さっそくポール目当てに出かけた。条件は3〜4mくらいの金属ポール。なんでかちょうどいい長さだけがなくて、2.5mか6mかの選択を迫られることになって、短くて足りないより長すぎるくらいがいいだろうと思って、6mのポールを選んだ。

ナイロビの道では素手でいろんなものを運んでいる人を目にするから、6mという長さには少しも躊躇しなかった。みんなと同じように素手で家まで運べばいいだけ。もちろんこれが東京だったら、ずいぶん覚悟は異なると思う。6mのパイプを素手で運ぶには道が入り組んでいて、人が多くて、不自由だということもあるし、何より作業着でも着こなしていない限り人の目が気になるはず。その代わり日本だったら、ホームセンターで購入して配送サービスにお願いするか、一時間以内無料とかのトラックを借りて自宅まで運んでいたと思う。もしかしたら、伸縮可能な物干竿なんかを購入すれば、もっと簡単に解決できることかもしれない。

パイプを持ち上げたら、思ったより重かった。立てて持つには重すぎるうえに長くて電線にひっかかるし、横向けで持つにはいろなん人やモノにぶつかるから、進行方向に向かって真っすぐにかまえるのが一番いいということは、持ち上げてすぐに勘でわかった。それでも、重いからといって両手で持つと肩を90度曲げながら歩くことになって、かなり辛い。どうやら、片手でバランスをとりながら持つのが一番らしかった。

前後のバランスを崩すとどちらか一方の先が地面にぶつかる震動に焦るし、左右にぶれると円運動によってポールの先が思いのほか遠くまで移動して何かにぶつかりそうで焦る。ただ、前後左右のバランスさえ上手く保てばパイプと一体になる気分さえ覚えた。これは、身体感覚を拡張/制限することによって身体を再認識するようなワークショップの一種だと気付いた。



「6mのパイプを運ぶ」というナイロビにおける日常的なお題は、それだけで日常を再考するワークショップのテーマになり得る。あるいは、何でも素手で運んでしまう人々の光景を新しい人間のシルエットとして考察すれば、どんな最先端のファッションよりもインパクトがある。守られたステージ上ではなく、日常にいきなり、しかもきわめて普通に、現われてくるわけだから。

ところで、アンテナ用に購入した6mのパイプは、やっぱり長すぎた。予定より一段下の階からパイプを設置することになって、なんと一番長いのに一番低いという結果になってしまったのだ(写真上)。

2012年12月9日 西尾美也

(ちなみに、他の地域に先だってナイロビではちょうど今月中に全面デジタル放送に移行される予定で、そうなると、受信機を手に入れてテレビを見られるのはナイロビ市の人口の約20%だけだという統計もある。来年3月の大統領選に向けた政府のたくらみだという指摘もあり、気が気でない。[前回の選挙ではテレビでの開票速報が突然中断し、それまでの結果がくつがえされる形でキバキ候補の勝利が宣言されたという])

小型バッグ「Bebabebag Mini」



12月7日から始まる展覧会「Matatu Project in Movement」での展示に向けて、ンガラ地区のマタツ修理職人たちと、マタツの形をした小型バッグ「Bebabebag Mini(ベバベバッグ・ミニ)」を制作しています。マタツは、ケニアの一般大衆の生活の足である公共交通機関(ミニバス)です。ンガラ地区の修理工房群は、数あるマタツ修理場のなかでも、最も大きくて活気ある場所。ちょうど3年前から何度も足を運んで共同作業してきたので、縫製職人や溶接工、大家、問屋店主などとも顔なじみになり、くつろいで働ける仕事場の1つになりました。



ここのマタツ修理工房で長年働いてきた職人たちの手とミシンで作られた「ベバベバッグ・ミニ」には、ユニークな魅力がいっぱい。カラフルな素材は、マタツの座席シートとまったく同じものを使用。手で触れると、まるでマタツに乗り込んだ気分になります。両側面にはそれぞれ、オリジナルステッカーの飾り文字と格言が貼られており、マタツ独特の風格を醸しだしています。上面にジッパーがあり、容量はほど良く大きめ。取り外し可能な取っ手をつけて、財布と携帯、手帳などを入れるハンドバッグとしてもよし、子ども用のバッグとして肩に斜めがけしてもよし。道具や化粧品を入れるポーチとして机に置けば、お部屋を飾るアクセサリーにもなります。



「ベバベバッグ・ミニ」は展示の一部になるだけでなく、販売もしています。お気に召した方は、ぜひご自宅の小物入れや買い物のお供として、連れて帰ってください。あなたの毎日の暮らしに、活気あふれるナイロビ下町の気分を運んでくれます。

※日本へも発送します。興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

2012年11月26日 西尾咲子


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